世界耐久選手権シリーズ(EWC)も10月9日(土)にチェコ・オートドローモ・モストで最終戦を迎えた。今回は、4輪のWTCRと併催で行われたこともあり、水曜日の午後にフリー走行、木曜日にフリー走行1、予選1回目、フリー走行2、予選2回目、土曜日に6時間決勝というスケジュールで行われた。
今回のモストラウンドは、8時間で予定されていたが、日照時間とナイター施設がないサーキットということ、何より朝晩の冷え込みが予想以上にあったこともあり、6時間に変更された。また、多くのチームが初走行となるため、水曜日の走行が1週間前に決まっていた。
もちろん裕紀も初走行となるだけに、コースマップを見ながら、先日開催されたワールドスーパーバイクの映像を見て予習。視覚的な感覚とすり合わせながら実際に走り出すと、1周が4,212kmと長いコースではないので覚えるのは、それほど大変ではなかった。今回も、3人でメインマシンを決め、マイクとジョシュに合わせる形でマシンセットを進めて行った。
木曜日は、なかなかのハードスケジュール。予選1回目は、Qタイヤを履いてアタックするが、思ったようにタイムを伸ばせないでいた。今シーズンは、Qタイヤをうまく機能させられない状態が続いており、それがマシンセットなのか、相性なのか、ハッキリした部分が解明されないまま最終戦を迎えてしまっていた。裕紀とジョシュは、2回目は決勝用タイヤでアタック。裕紀は自己ベストを更新する。マイクのみQタイヤを2回目でも使い、総合4番手で公式予選を終えていた。
決勝日の朝も冷え込み、気温は3、4度と冬のような寒さとなった。それだけではなく霧でサーキットが包まれてしまい、ウォームアップ走行の開始時刻がディレイされ、慌ただしいスケジュールで11時のスタートを迎えていた。
スタートは、今回もマイクが担当し、好ダッシュを見せトップに立つとレースをリード。レース序盤は、4台のトップ争いが繰り広げられる。ジョシュに変わっても2番手をキープし、裕紀の第1スティントを迎える。そしてピット作業を終えると裕紀はコースに出て行く。アウトラップだけに慎重にペースを上げて行くが、一瞬でリアからスピンするように転倒してしまう。ハード目のタイヤだったが、ウォームアップ走行で皮むきしてあり、すべりやすいコーナーだったことも把握していたのだが…。
ピットに戻ると、すぐにマシンを修復。約17分のタイムロスで、再び裕紀がコースに出て行くと、自身のスティントをこなすが、この走行がモスト6耐の決勝を走る唯一のスティントとなってしまうとは思ってもみなかった。
マイクの2スティントが終わり、ジョシュが2スティント目に入るとセーフティーカーが介入。20分ほどで解除されるが、再びオイルを出したマシンがあり、2度目のSCランに入る。その直後にジョシュは、エンジンに不調を感じピットイン。何とか修復を試みるものの、そのままリタイアを決断することになってしまう。
シリーズランキングは5位で2021年シーズンを終えた。
高橋裕紀「ちょうど次の走行に備えてストレッチを終えてインナーを着たら、ジョシュがトレーラーに戻って来て“え!?”となりました。エンジントラブルですが、ボクの転倒も関連がないとは言えきれないので、とにかく申し訳ない気持ちです。目指した結果も得ることができず悔しいシーズンになりました。その中でも、24時間耐久を走ることができ、第2戦エストリルでは優勝することができました。貴重な経験ができたことを、チームを始め、応援してくださった全ての皆さんに感謝します。来年もチャンスがあれば、もっと強くなって戻って来たいと思っています」