雨の多いシーズンとなっている2018年。今回のシリーズ第8戦岡山ラウンドは、台風24号の接近のためレースが中止となった。土曜日の公式予選はほぼ予定通りに行われ、裕紀は、JSB1000クラスで初めてポールポジションを獲得した。
2週間前に行われた事前テストも天候に恵まれず、初日の午前中はハーフウエットからドライ、午後はドライ、2日目はウエットというコンディション。タイヤテストや車体の大きな変更を行いながらセッティングを進めて行き、事前テストの状態をベースにレースウイークに臨むことになっていた。
レースウイーク初日の金曜日は清々しい秋晴れに恵まれたが、土曜日から雨になり日曜日は台風が接近することがわかっていた。事前テストからの流れでいろいろテスト項目をこなしているうちに、初日はあっと言う間に終わってしまった感じだった。
そして予報通り雨模様となった土曜日。日曜の決勝レースが中止になれば、予選順位にハーフポイントが与えられることになると発表前から言われていただけに、一つでも上位で終えられることを目指していた。事前テストでのウエット走行の感触から上位に食い込める自信はあったが、ポールポジションを獲れるとは思っていなかった。
ノックアウト方式で行われた公式予選。まずQ1では、早めにQ2に進出できるタイムを出しピットに入ると、セットを変え確認作業を行っていた。そのうちに赤旗が提示されQ1は、5番手につけていた。
タイヤを交換し、15分間のQ2に出て行く。裕紀は早い段階でリーダーボードのトップに立ち、一度もピットに入らずに1周ずつフィーリングを確かめながら攻めの走りを続けて行く。サインボードで自分のポジションとターゲットタイムを確認し、セッション終盤に全力で1周をまとめ1分36秒279をマーク。再びトップに立つと、裕紀のタイムを上回る者は現れず、JSB1000クラスで初ポールポジションを獲得した。これはピレリタイヤにとっても初めてのことであり、モリワキにとってはJSB1000クラス復帰後初のポールとなった。ピットに戻った裕紀をチームやピレリのスタッフが歓喜で迎え笑顔に包まれたのだった。
その後、決勝レースは中止、予選順位でハーフポイントが付与されることが発表され、裕紀のJSB1000クラス初ポールポジションに対し、12,5ポイントが与えられた。
高橋裕紀「事前テストではウエットで多くの時間を走ることができたので自信はありましたが、まさかポールポジションを獲れるとは思っていませんでした。チーム、Honda、KYB、ピレリタイヤと、すべてがうまく噛み合った結果だと思います。すごく安心して攻められるバイクだったので、すべっても怖くありませんでしたし、ドライみたいに攻めて行くことができました。レースができなかったことは残念でしたが、中止は正しい判断だったと思います。次回は早くも最終戦鈴鹿なので、今回の流れを持ち込んでいいレースにしたいです」