劇的な優勝を果たした開幕戦ツインリンクもてぎから早くも約一カ月半もの月日が流れ、シリーズ第3戦SUGOラウンドを迎えた。第2戦鈴鹿2&4レースはJSB1000クラスのみの開催となっていたため、裕紀の参戦するST1000クラスは今回が2戦目となる。
レースウイークの前週に行われた事前公開テストでは、思っていた以上にマシンセットに苦戦。最後のセッションに試したセッティングもいい方向に行かず9番手となっていた。トップは1分27秒に入れ、2番手以降も1分28秒台とライバルは好調だったが、裕紀は1分29秒台を切ることができないでいた。
事前テストを終えてから徹底的にデータを見直し、ミーティングを行いレースウイークを迎える。初日は、朝から雨となりウエットコンディションとなっていたが、ドライのセットをベースにアジャストしていき1本目の走行をトップタイムで終える。午後になると霧が発生し視界不良のため2回目のセッションは中止となってしまう。
土曜日も朝から雨となっていたが徐々に止み、ST1000クラスの公式予選が始まるころには路面もほとんど乾いてきていた。裕紀もスリックタイヤを履きコースイン。1、2コーナーやS字コーナーは、まだ濡れており、ウエットパッチも残っていたが、路面コンディションは、セッション終盤の方がよくなることは明らかだった。そしてセッション終盤のアタック合戦が始まるが、ここで裕紀は他車に引っかかってしまい、思うようにタイムを出せず6番手と不本意なポジションで予選を終了する。
この時点でもまだトップとの差はある状態だったため、改善策を練りながら決勝日朝のウォームアップで変更したセットを確認し、レースを迎えていた。
2列目イン側からスタートした裕紀は、他車とラインが交錯し僅かに接触。1コーナーへは6番手で入っていき、オープニングラップから2周目に入るホームストレートで1台をかわして5番手に。さらに4周目にも1台をかわし4番手とトップ争いの集団の中でポジション争いを繰り広げていく。6周目に事前テストから速さを見せていた岡本裕生選手がトップに立つとペースが上がるが10周目の1コーナーで転倒。かわってトップに立った渡辺一馬選手がペースを上げて一歩リード。これを追いたい裕紀だったが、なかなか前に出ることができないでいた。その間に渡辺選手は独走態勢に入り、裕紀は2番手争いを繰り広げる。
残り4周となったところで榎戸選手のペースが上がらなくなり集団が動いた。ここで裕紀は2番手に浮上すると自己ベストを更新する走りで単独走行となりトップに迫っていくが、もう少しのところでチェッカーフラッグが振りおろされてしまい2位フィニッシュとなった。
高橋裕紀「事前テストからセッティングがいい方向に進まず思った以上に苦戦しましたが、チームのおかげで現状でのベストは尽くせたと思います。先週の状態だったら、表彰台にも乗ることができなかったはずですから。優勝することができず、すごく悔しい思いと、応援してくださった皆さんのご期待に応えられず申し訳ない思いでいっぱいです。この後は、いよいよル・マン24時間に向けて出発することになります。精一杯走ってきますので引き続き応援よろしくお願いいたします」