予選:10番手 決勝:9位

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)2019年の全日本ロードレースは鈴鹿のみの参戦となり、予想外のスーパーバイク世界選手権への代役参戦はあったが、2019年の鈴鹿8耐は裕紀にとって最もプライオリティの高いレースに位置付けられていた。しかし昨年までペアを組んだ清成選手はHRCで走ることになり、今年は誰と組むのか分からない状況だった。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)そんな中、幼少のころより切磋琢磨し同時期に世界を戦いプライベートでも交流のある小山知良選手と組めることになった。さらにオーストラリア選手権チャンピオンのトロイ・ハーフォス選手が加わり、3人で走ることに決まった。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)事前テストは気温が上がらず、梅雨だけに天気もいま一つ。本番で路面温度が変わればテストまでのセットは通用しないことは想定していた。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)今年のレースウイークは、水曜日から始まった。予想通り梅雨明けし、気温も上昇。そのコンディションに合わせ、決勝を想定したアベレージを上げるため、3人でセットアップを続けて行く。幸いにも裕紀と小山選手のポジションはほぼ同じ。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)それに対してトロイ選手は背が高いため窮屈だが、あくまで裕紀と小山選手のポジションに合わせると言ってくれていたし、それが彼の任務でもあった。ハンドルの位置とステップをほんの少しだけ変更し、あとはマシンに慣れてもらっていた。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)公式予選はトップ10に入るのが目標だった。なかなか一発タイムが出ない状況だったが、全員予選用タイヤと言ってもいいソフトタイヤで臨むことを選択した。まずライダーブルーの裕紀がアタックし、2輪シケインで他車の転倒の影響を受けるものの2分08秒891をマーク。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)続くライダーイエローの小山選手は、うまくカワサキワークスのトプラック選手をマーク。スプーンカーブ進入のブレーキングでミスはあったものの、それでも2分08秒489というすばらしいタイムをマーク。これにはチームのピットも歓声に沸いた。ライダーレッドのトロイ選手も2分09秒480まで詰めてくれていた。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)そして裕紀は、予選2回目のセッションで2分08秒307までタイムを縮め、3人の平均タイムは2分08秒758となり、予選総合では10番手と、まずは目標をクリアし『トップ10トライアル』に駒を進めることができた。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)しかし、土曜日は台風6号の接近のため降雨量が多く、予定時間になっても雨量が弱まることがなかったため『トップ10トライアル』は中止となってしまう。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)日曜日は朝から蒸し暑くなり、鈴鹿8耐らしいレース日和となった。スタートは、裕紀が担当し、まずはトップグループの後方につけて行く。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)セーフティーカーが入ったことは誤算だったが、想定よりいいペースで周回することができていた。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)かわった小山選手も同じようなペースで走ってくれた。トロイ選手は若干周回を短くしたが、着実に周回を重ねて行く。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)チームも完璧にピットワークをこなしライダーをバックアップ。7番手から10番手の間を行ったり来たりしながら、レースは終盤を迎える。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)チェッカーライダーは小山選手が担当し、前を行く#2SERTとは約9秒差だった。夕闇が迫り西コースからは雨も落ちてきていた。その中で着実に前との差を縮め、最終ラップには追いつく計算となっていた。そして残り5分。小山選手に、その差2秒とサインボードを出す。その直後に#2 SERTが1コーナーでエンジンブロー。白煙を吹き、オイルも出ていた。小山選手は目の前が真っ白になるが、何とか回避して転倒を免れていた。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)そしてトップを走行するカワサキワークス(KRT)が最終ラップに入ったS字コーナーで転倒。赤旗が提示されレース終了。レギュレーションの解釈の違いによって暫定結果が覆るなど混乱はあったが、結局は赤旗の1周前の順位でレース成立となり、KYB MORIWAKI RACINGは9位という結果となった。

FIM EWC 世界耐久ロードレース最終戦: Suzuka 8 hours(SUZUKA)高橋裕紀「今年の鈴鹿8耐は、現状ではやれることをすべてやれたと思います。チームはミスなくピットワークをこなしてくれましたし、小山選手とトロイ選手も完璧でした。それほどレース内容はよかったですね。何かあったときに上がっていけるように、自分たちのベストを尽くしていました。例年、鈴鹿8耐は荒れる展開があるのですけど、今年は最後こそ荒れた展開にはなりましたが上位はほとんど脱落しませんでした。その中で目標であったシングルフィニッシュできたことは、よかったと思います。応援してくださった、すべての方に感謝します。ありがとうございました」